――7――


 何一つ変わらない風景。
 それに比べ、私は随分と変化した。モノクロームの景色に、色が塗られていく感覚とでも言おうか。
 隣を歩く彼が、そんな私に、卑屈な笑みを寄越す。
 彼の繊細さに、父の幻影を見い出していた私は、その全てを支配する喜びに満ち溢れていた。
 そう、私は、馨君の中に父親を求めていたのだ。
 だから、あの嫌悪感は、本来ならば愛情と呼ぶべきもの。ただ、私が気付かなかっただけだ。
 ・・・いつか、彼を母にも紹介しようと思う。
 父に似た、馨君。
 きっと、母は彼を「朔也」と呼び、いずれ私の存在も認めてくれるようになるだろう。
 そして、家族が、修復される。傷が、癒される。
 罪の償いは――それで完了する。
 この脳に、愛情という言葉を刻み・・・私は今日も歩いている。

 今にも破れそうに薄い、紙のような現実の上を。




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